自毛植毛のヒントを探る

私たち人間の体は、唇や手の平、足の裏などを除いて、ほとんどすべてが体毛に覆われています。 ほとんどの毛は産毛ですが、髪の毛、眉、わきの下、生殖器付近には濃くて長い毛が集中して生えています。
男性の場合は、ヒゲ、人によっては胸毛、へそ付近の毛なども生えています。 体毛は、保温、外からの刺激に対する防御のほか、感覚器官、フェロモンの発散器官としての役割を持っているともいわれます。
こうしたヘアは、ケラチンというタンパク質からできていて、その断面を見ると一番外に毛小皮、その内側に毛皮質、中心部が毛髄質という三層構造になっています。 ただし、産毛には髄質は見られません。
根元の部分は、皮膚の外に出ている部分を毛幹といい、皮膚の中にある部分を毛根といいます。 毛根の部分は表皮、真皮の下の皮下組織に入り込み、その周りには毛包という円柱状の組織が形成されています。
髪の毛はここから作られているのです。 ヘアは生えては抜けるを繰り返すヘアには「寿命」があります。

成長しては抜けて、またしばらく休んでは生えてくるというサイクルを繰り返しているのです。 これを毛周期、またはヘアサイクルと呼びます。
頭髪の場合、毛周期は、成長期、退行期、休止期の3段階に分けられます。 成長期は2〜6年。
平均して約1000日間続き、この時期には毛乳頭や毛母細胞に血液を通じて栄養がどんどん供給され、毛芽細胞が分裂して毛ケラチンなどを形成し、上へ上へと押し上げていきます。 髪の毛の伸び方には個人差がありますが、だいたい1日に0.10mm程度伸びるといわれています。
平均すると0.4mmほどです。 つまり、健康な人であれば、髪の毛は1か月に約1センチずつ伸びていくわけです。
成長期には皮膚の中で毛を包み込んでいる毛包も長くなり、皮下組織の奥までしっかりと伸びているので、毛を抜くにも力がいるほどです。 しかし、退行期(214週間)になると毛根下部の組織が萎縮して生成をストップしてしまいヘアは抜け落ちはじめます。
さらに2〜3週間すると、毛根はさらに縮んでいって成長期の半分ほどになり、休止期に入ります。 しかし、これは決して死に絶えてしまったわけではありません。
冬が来て地上に出ている茎や葉がすっかり枯れ落ちてしまっていても、じっと次の春が訪れるのを待ち続けている球根のようなものです。 休止期は2〜4か月続き、その後はそこからまた新しいヘアが生えてくるということになります。
一生涯にわたって毛周期がきちんと守られていれば、髪の毛の量は同じで、矮小化しません。 ところが、男性型の薄毛の場合はヘアの矮小化が起きます。

つまり毛髪が徐々に小さく(細く短く)なって薄くなったように感じるのです。 少なくとも進行しはじめた頃は全体の本数は変わらないといえます。
ハゲることはあ進行が進んでいて、抜け毛が多く再生が追いつかなかったり、あるいは成長を休止しているまず男性ホルモンから考えていきましょう。 前頭部や頭頂部、ヒゲや胸毛、すね毛などは男性ホルモンに関わっていることは明らかです。
一般的に男性型の薄毛というのは、男性ホルモンの影響で前頭部と頭頂部の毛が薄くなったり、あるいはなくなったりするものです。 反面、側頭部や後頭部は男性ホルモンの影響をほとんど受けないため、ヘアがしっかり残るのです。
そのメカニズムは、男性ホルモン(テストステロン)が毛母細胞の5α-リダクターゼ型-H型)という酵素によって、ジヒドロテストステロン(DHT)に変わり、これがヘアの成長を抑制するためとされています。 つまりDHTは、頭髪に関しては悪役の男性ホルモンということになります。
薄毛が起こるのは、男性ホルモンの量が多いからではなく、それに反応する酵素の過敏性の問題であるということがわかってきたのです。 薄毛が男性ホルモンと大きく関わっているとしたら、「去勢」した場合はハゲないのでしょうか。
とある論文によると、10歳より前に去勢すればハゲないようです。 つまり、ある程度の年齢になってから去勢したのでは遅いということになります。
10年以上前の話になりますが、私のところに来た患者さんで実際に1人、髪の毛のために去勢したという人がいました。 その人は結婚もしているそうで、奥さんとの間でどういう話し合いになっているかはわかりませんが、大変驚き男性ホルモンと並んで薄毛の大きなファクターとされるものは「遺伝」です。
ハゲている父親を持つ子供は、ハゲていない父親の子供より薄毛になる率が高いといわれています。 母方の遺伝が父方より強いとする説もあります。

5α-リダクターゼの過敏性の強さ、また年齢の因子、つまり過敏性のスイッチがオンになるのかということも遺伝情報に支配されているということです。 薄毛を誘発するホルモンと遺伝に関しては、ひとつの概念を確立し、男性ホルモンと遺伝因子による薄毛を「アンドロジェニック」と名づけました。
薄毛に関係する遺伝子は複数あると考えられていますが、どの遺伝子がどんなメカニズムで薄毛を引き起こすのか、また逆に育毛に関与するのかについては現在、完全に解明されていません。 男性型脱毛症(若ハゲ)の原因には脂漏(フケ)・皮脂説、頭皮緊張説、ストレス説、食事説のような説があります。
フケ・皮脂説は、フケや皮脂が抜け毛の原因となるというものです。 私の場合も、フケが気になりはじめてからヘアラインが後退してきたのですが、フケや皮脂が薄毛を促進するというより、むしろその経過中に起きる現象ととらえたほうがいいかもしれません。
育毛については、皮脂を取ることが薄毛治療の重要なポイントとうたっていますが、たとえば一生懸命シャンプーして清潔にしている人が、シャンプーもろくにしないホームレスの人より薄いことも多いという事実は説明できません。 頭皮緊張説は、頭皮が突っ張って薄毛になるというものですが、現在では否定され、むしろ薄毛によって頭皮の血行が悪くなり、結果として突っ張るのではないかと考えられています。
ストレス説については、毛髪への影響はむしろ白髪のほうが一般的にいわれています。 またヘアラインから後頭部にかけてハゲることについては説明できません。
最後の食事説とは、食生活の欧米化によって脂質の摂取が増え、毛根が栄養過多になったためにハゲるというものですが、これによって薄毛人口が増えたという証拠はありません。 ただ最近、腹部の皮下脂肪の増加が先ほど述べたDHTの血中レベル上昇と相互関係があるというおもしろい学会発表も耳にしています。
若ハゲ以外の薄毛とは若ハゲ以外にも、別のタイプの薄毛を起こす要因があります。 これらは本来、その人が持っている若ハゲの体質を刺激して薄毛を促進してしまう可能性もあるため、個々に列挙しておきます。
世の中にはさまざまなハゲ・薄毛の解決法が出回っています。 ヘア産業は巨大な市場で、それぞれの方法こそがベストであるかのように、競って宣伝活動を繰り広げています。
はたしてそれらの方法が本当に効果のあるものなのか、読者の皆さんも興味のあるところだと思います。 今ある薄毛の解決方法を整理すると、植毛、人工毛植毛、カツラ、増毛、育毛剤・養毛剤のように分類されるでしょう。
植毛に対して異物植毛という方法があります。 これは人工毛や他人毛を使った植毛法です。

年以上前には他人毛を使った植毛が行われていたこともありましたが、惨たんたる結果のようで、現在はさすがに耳にしなくなりました。

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